平成から令和に

まもなく平成の終わり

特急の車窓から眺める夕方の宇佐平野は、整えられた田んぼが夕日を受けてきれいに輝いておりました。

平成の時代は、国際的に渡り合える農業の下地作りとしてこれまでの農地制度から脱却して農地の集約や経営規模の拡大を推進してきました。先進的な農家については、いち早く組織的な経営を行い、あるいは組織的な経営の準備に取り掛かってこられております。

今一歩集約化が進まないのには、財産権としての配慮、尊重が必要なのでやむを得ない所だと思われるとともに諸外国との貿易交渉といった問題を目の前に、間に合うのかという焦燥感もあるかと思います。

私個人として感じるのは、規模の集約を加速するには、規模の拡大と同時に経営力の強化に取り組まなければ、この問題は解決しないのではないかということです。今はどちらかと言えば規模の拡大が先行して、経営力の強化は個々に委ねられているため後回しになっており、地域から受け皿として安心して預けられる存在になれずにいる経営体が多いのでないでしょうか。

経営において規模が大きいことだけでは強みにはならないばかりかこれからの時代かえって変化に対応できずリスクになりかねない。そこにマネジメント、理念といった経営感が備わって強い経営体が生まれ、地域の雇用の受け皿にもなることでより、農地の集約が加速するのだと感じております。

当然ながら、経営力の強化には多方面からの支援体制が必要になってきます。平成の最後に始まった相談所事業はその取組の第一歩として期待されております。支援体制の受け皿としてももっと多くの専門家の力が必要になってくると思います。残念ながらまだ理念や事業計画を支援する体制はまだ足りないと思います。成果が求められると時間や予算が限られてくるといった事情もあるかと思います。

そういった取組にも目が向けられることを期待しております。

最近の農政動向

お世話になります、大分事務所の荒木です。

2018年度の2次補正予算が7日成立となり、産地パワーアップ事業などの予算が措置されました。
また、産地パワーアップ事業では、これまでののコスト低減、販売額の要件に加えて
労働生産性10%以上の向上が新設されるとのことで、国の働き方改革と相まって労働時間のコントロールが一つのキーとなりそうです。

また、農林水産省では、スマート農業普及に向けて2025年度目標を設定し、データ活用した農業の実践が進むことを期待しております。対象がほぼすべての担い手とあり、導入が難しいと思われる中山間地域などでも導入できる価格が実現するのかどうか注目しております。

事業承継元年

あけましておめでとうございます。大分事務所の荒木です。

今年も残すところあと361日となりました。 これを聞いて、何を言ってるのか。と感じるのか。そうだなと感じるか。 半分冗談、半分まじめな話でして、年々月日が流れるのが早く感じるようになり、 また、時代もデジタル化、電子化の中で、情報量や速さが増しており 仕事のスピードも速くならざるをえません。

今年は、我々の業界では、事業承継元年になるのかなと思っております。 まだ時間があると考えるのか。そろそろ始めないと間に合わないと感じるのか。 です。

一つの考えには、事業承継には5年から10年かかると言われます。

今自分の年齢が何歳かよりも、後継者が代表になる年は何歳ごろが理想かで考えていただく方がスタートしやすいかもしれません。 60代で創業した方が少ないように、後継者もその年で後継したのでは ちょっと遅いかもしれません。

また、なぜ5年から10年かかるといわるのかと言いますと 『見える化(現状把握)』『磨き上げ(問題点の解消)』といったことが必要となり、 一従業員、一役員とは違って、後継者として育ち上がってもらうことが重要です。 特に、後継者が自分の会社だから何でも自分で自由にやれるといった勘違いいないように 経営理念や考え方をしっかり教え繋いでいかなければ、バトンタッチした途端に トラブルなるケース、株主訴訟、解任といった事態も増えてきているようです。

少しでも時間がかかる理由が伝われば幸いですが、 また、折りをみて情報提供していきますので、今年もよろしくお願いします。

7年先の未来

お世話になります、大分事務所の荒木です。

今年もお世話になりました。一足早くご挨拶です。

みなさん、7年先の未来がどのようなものか想像つきますでしょうか。

7年先といえば西暦2025年になります。

なんとなく高齢化が進んでいるだろうなという予感はします。

この度農研機構より『2025年の地域農業の姿が把握できる地域農業情報』が
配信されました。

主に「人・農地プラン」改善や地域農業の将来ビジョンの策定の検討に使うことを目的として、各種 生産要素などの予測値が示されています。

これによりますと、家族経営体では2025年に40歳未満の担い手がほとんどいなくなると予測されております。複雑なのが、全体の農地が縮小していく中で
5ha以上の経営体は増加していくため、集積されるのはいいことですが、
担い手となる人材はかなり縮小していくことにあります。

一方でもう一つの受け皿となる法人組織数は、現状から大きくは伸びないこと
との予測から入替も含めながら既存数に集約されていくことが予測されております。

つまりは、どの業種にも言えることですが、人材集め・人材のつなぎ止めに
力を入れ、成功した組織には一定の経営安定が見えてくるということではないでしょうか。

現在は、人材に力をいれるといっても、色々なやり方や側面があり、必ずしも金銭面だけではありません。

ある方の話で雇用相談会、就職説明会に一度顔を出すだけでも、人を採用するこつや感覚が身につきやすくなるとおっしゃっておりました。一度足を運んでみてください。

消費税の増税が、いよいよ現実のものとなってきました。

お世話になります、大分事務所の荒木です。

10月が始まり、消費税増税まで1年を切りました。

増税に向けて注意が必要な点は、大きく分けて
1.軽減税率への対応
2.指定日
3.納税資金の対策の3つは最低限準備が必要になってくるかと思います。

1.軽減税率は、自社の何が軽減税率の対象で、対象ではないか。の把握と
軽減税率の対象となるものの取扱いがあれば、レジシステムや請求書関係の記載方法の見直しが必要です。
また、同じ8%でも経過措置(過去契約や取引の税率引継)と軽減税率では、税率は同じでも(国税と地方税の内訳が違うため)
区分処理が必要となります。

さらに、作業受託などの委託販売などを行っている企業で、簡易課税の所は、経理処理について31年の10月から処理を変えるだけでは不十分で
10月1日を含む事業年度の期首から処理を変える必要があるところも出てきます。

2.指定日です。 今回は指定日が4月1日となるため  請負契約などで9月までに完了しなかった取引のうち、3月31日までに契約したものは8%扱いとなりま
す。ただし、一部の資産では、自動車取得税などの軽減措置などが設けられている為慎重に判断する必要があるかと思います。

3.最後は資金繰りです。消費税の納税については、頭では理解していてもいざ納税の時期になると頭を悩ますことも多いかと思います。
それが10%になれば影響はより大きなものとなるもは間違いありません。
以前より各方面でも言われておりますように、当月の売上の一定額を別口座によけておくなどの意識的な対策が必要かと思います。

農業経営基盤強化準備金制度の改正による注意点

お世話になります、大分事務所の荒木です。

先に改正で、農業経営基盤強化準備金の取崩に関する取扱いが変わったのをご存知でしょうか。

従来、計画に記載した設備を購入した場合か5年計画した場合に取崩となっておりました。

ところが、今度の改正で、計画に記載していない設備を購入した場合でも積立金の取崩の必要があります。

問題はここからで、この設備というのは計画に記載したものとは違うため税務上の損金には算入できないものとなるため、そのまま税金がかかってきます。

回避するためには設備購入検討の段階で、計画の変更申請をする必要がありますが、
局によって対応はまちまちでできない可能性もあるとのこと

設備計画が今後はより慎重に求められますのでご注意ください。

処遇改善を活用して、企業も節税を

お世話になります、大分事務所の荒木です。

人手不足が叫ばれている中、処遇改善など人材確保に苦慮されていることかと思います。
また、せっかく採用したからには戦力として育ってもらいたいというのがどの企業も悩みではないでしょうか。

その中で企業の給与などの底上げのための後押しとして、従業員の給与が前年比など3つほどの要件を満たせば法人税などの軽減になる税制は
だいぶ浸透してきたかと思いますが、平成30年の改正では上乗せ措置として、 賃金要件の増加割合が2.5%以上かつ経営力向上計画による改善もしくは教育訓練費が前期の教育訓練費の1.1倍以上であれば、上乗せとして10%が控除でき、中小企業の場合で最大25%が控除できます。(ただし、法人税額の20%が上限)

経営力向上計画では、一定の設備投資などが要件となるため、設備投資の予定がない場合には受けられない可能性がありますが、
教育訓練費は、対象者や範囲など要件がありますが、比較的柔軟に取り扱いができ、検討の価値が大いにありそうです。

ちなみに、経営力向上計画による上乗せ措置を検討されている場合は、向上していると認定されるための指標は限られており、業種により独自に定められた指標では
対象外となる可能性があります。そのため、対象外の指標で計画の認定を受けている場合には、計画の変更の必要があります。

【おおいた農業経営相談所】発足

農業経営者を支援する制度が発足しましたのでご紹介します。

【おおいた農業経営相談所】は、意欲のある経営者を対象に就農から次世代への承継、その後と一気通貫による
各専門家がテーマ・議題に対して伴走的支援をすることで経営発展の一助となるように活動します。

専門家も県内各所にて幅広い金融・6次化プランナー・税理士・公認会計士・社会保険労務士・中小企業診断士などがリストアップされおります。

さらに、より高度な問題に対しては、問題に対して編成された支援チームによる支援も行うことも予定されており、力強い制度となっております。

窓口としては、大分県農業会議や各エリアの振興局にご連絡ください。
当事務所でもご案内します。097-553-0100もしくは、araki.t@tkcnf.or.jpまで

お中元

お世話になります、大分事務所の荒木です。私もついにカレイショットの対象となりました。

猛暑の真っただ中ではございますが、先日、大分県杵築の中野酒造で作られている日本酒【智恵美人(ちえびじん)】がフランスのコンクールで最優秀賞を受賞したという記事がありました。【智恵美人】は山香産米と地下水を使って作られており、地酒としてますます人気が出て、手に入らなくなるかと思いますが、お中元まだまだお待ちしております。

さて、冗談はここまでですが、お中元に関して、税務的な情報を一つご紹介します。
消費税の税率が2019年10月より10%になり、併せて軽減税率が実施されるのはすでにご存知かもしれませんが、
対象となるのはどんなものかいうと、細かく分かれるため個別に検討していく必要があります。その中で、まさにお中元品のように
軽減税率の対象となる食料品と対象外のものが一体のものとして売られているものがあります。(これを”一体資産”と呼びます。)

こういった場合、わざわざ税率をわけて表示することが煩雑であることもあり、税抜価格1万円以下の場合かつ食料品が3分の2以上のものを軽減税率の対象としております。(自社組合せ商品であれば原価ベース/仕入品であれば税率で判断)。

ただし、販売時に個別に値段を表記していたり、 組合せ自由にして販売している場合は対象となりません。

ちなみに、軽減税率対象となれば税率8%ですが、現行の8%とはちがいますのでご注意ください。納税額自体は大きくは変らないかとは思いますが、会計処理の設定上は国税6.24%と地方消費税1.76%と違うため販売システムなどで対応されたものが必要になります

新固定資産税特例制度 大分県内 随時決定中!

お世話になります、大分事務所の荒木です。

先日の掲載記事にて、経営力向上計画による税制(既存)とは別に、新固定資産税特例の情報についてお伝えしましたが、
大分県内の自治体でも議会の決定を受け、随時決まってきております。
県内先駆けて 日出町、大分市が制度を導入しております。別府市などはもう少し先になるようです。

このように、自治体により制度の可否や実施時期が違いますのでご注意ください。

既存税制は、法人税に加えて、固定資産税が最大3年間半額になるというものですが、新固定資産税特例は自治体によっては固定資産税(償却資産税)が3年間全額軽減されるかもしれません。
いずれにしても、初年度は税制が重複し選択が必要になるため、自社の収益など現状に合わせた検討が必要になります。
また、新固定資産税特例は、設備取得後の申請は一切認められませんので、より慎重に計画的に行う必要があります。