「収穫は順調。でも、なぜかお金が残らない」――そう感じたことはありませんか?
農業も「経営」です。収量だけでなく、収益性や資金繰りまでを見通した経営改善が求められます。この記事では、農業経営者が取り組みやすいコスト管理の基本と、**品目別のKPI(重要業績評価指標)**の考え方をご紹介します。


セクション1:なぜ農業経営に「コスト管理」が必要なのか?

農業は自然相手のビジネス。予測できない要素が多いため、「収量を最大に」ではなく、「利益を最大に」するための視点が重要です。

コスト管理の目的

  • 赤字の原因を見える化する
  • 品目ごとの収益性を把握する
  • 不要な出費を減らす

よくある課題

  • 仕入れや資材費が把握されていない
  • 労務費を「家族労働」で過小評価している
  • 「どんぶり勘定」から抜け出せていない

セクション2:すぐにできるコスト管理の第一歩

① 成分別にコストを分ける

  • 肥料・農薬・資材・燃料など、費目ごとに分類
  • 手間でもExcel会計ソフトで記録を

② 品目別にコストを集計する

  • 「トマト」「キャベツ」など、作物単位での損益計算
  • 共通費(トラクター維持費など)も配賦する工夫を

③ 家族労働にもコストを割り当てる

  • 時給換算し、見えない人件費を計上
  • 労働生産性を判断するための基礎に

セクション3:KPI(重要業績評価指標)の導入

KPIとは?

経営の成果を測るための「数字による目標指標」です。農業でも活用が進んでいます。

品目ごとのKPI例

品目KPI例
トマト10aあたり収量(kg)、販売単価(円/kg)、収益率(%)
反収(kg/10a)、コスト率(%)、販売価格(円/kg)
ぶどう1樹あたり収穫量、販売単価、等級率(特A率など)

KPIの使い方

  • 毎年記録し、前年比較で改善点を探る
  • **他農家との比較(ベンチマーク)**で課題を発見
  • 自分の強み・弱みが数字ではっきり見える

セクション4:経営改善に向けた3つのアクション

  1. コストと売上の見える化:毎月記録し、振り返る習慣を。
  2. 品目ごとの収益性分析:手間の割に儲からない作物は見直す。
  3. KPIを使った目標管理:数字で語れる経営者になる。

おわりに(まとめ)

農業経営も、数字に強くなることで未来が開けます。
まずは、簡単なコスト管理から始めてみませんか?
小さな改善が、やがて大きな成果につながります。